保育カリキュラム

11月主題  領解(こころがけ) 

集団での生活を過ごす中にあっては、自分勝手な行動は他人に迷惑をかけてしまいます。そこで、集団の中においては、必ず誰もが守るべき「きまり」が設けられています。ところが、まだ自己中心性の強い幼児にとっては、ある程度自分の「我がまま」が許される家庭と違い、いろいろなきまりを守ることを求められる集団での生活は、おそらく窮屈なことと感じられるかもしれません。

園生活は、子ども達が初めて経験する社会性を学ぶ場ですが、そこではきまりを破ると即座に注意をされたり、時には精神的な面での痛い思いをすることもあります。けれども、そのことを通して、子ども達はやがて自然ときまりを守ることの大切さと、忍耐の必要性とを学んでいきます。したがって、集団生活の中では、いろいろな「きまり」を守ることを通して、自分の「我がまま」を抑えて行動できる自律性と、自身の欲望に打ち勝つ克己心が無理なく育まれていくのです。

こうして培われた情緒の安定した豊かな心は、相手の立場やみんなの立場に立ってものごとを考える余裕をもたらすようになります。そしてそこには、自分のことだけを考えるのではなく、常に他の人のことを思いやってものごとを考えたり、進めて行こうとする協調性も芽生えていきます。

一般に「きまり」を守る場合は、個人の意志の有無にかかわらず、強制的に守らせるものと、自分達でよく話し合って決めた上で自主的に守らせるものとの二通りがあります。社会生活を営む上では、両方共にとても大切なことですが、子ども達に「きまりとは、結局は自分達のためにあるのだ」ということを、いろいろな体験の中で自然と理解できるようにして行きたいものです。

自覚的に、自分の心の中に「きまり」を持つということは、自分の本当の姿を映し出す鏡を持つということです。犯罪の凶悪化や低年齢化が社会における大きな問題となっていますが、それは自分の中に「良いこと」と「良くないこと」を正しく判別する「心の鏡」を持ってはいないか、たとえ持ってはいたとしてもその鏡が曇っていてよく見えなかったり、自分自身の手できれいに磨くことを怠っているからではないでしょうか。このような意味で、幼児期から「きまり」の大切さを教え、それを常に心がけてきちんと守るようにさせることは、自律した人間を生み出して行くことに繋がります。

子ども達が常に「きまり」を心がけて、きちんと守ることにより、その心に美しい鏡が置かれると、たとえそれが面倒だとか窮屈なことだと感じたとしても、それでも社会生活を営む一員として「守るべきことは、必ず守る」という強い心、いわゆる「社会力」を無意識の内に育んでいけるよう、先ずは自らが子どもたちの手本となるよう心がけて行きたいと思います。

年長組

〇一人一人がイメージを膨らませ、友達と工夫しながら遊びを作る。
〇目標に向かって力を合わせて活動に取り組み、最後までやり遂げる。
〇思ったことや考えたことを自分なりに表現する楽しさや満足感を味わう。
〇物事の善悪を理解し考えながら行動する。

年中組

〇友達と親しみ、みんなで遊ぶ楽しさを味わう。
〇物事を善悪が分かる。
〇いろいろな表現遊びを楽しみ、表現する楽しさや喜びを知る。
〇自分の思いやイメージを友達に伝え、受け入れられたことへの喜びを感じる。

年少組

〇秋から冬への自然の変化を感じる。
〇善い事・悪い事が分かり決まりを守ろうとする。
〇友達と親しみ、皆で遊ぶ楽しさを味わう。

満3歳児

〇遊びの中で、自己主張をしながら、保育者の仲立ちで相手の想いを感じられるようになる。