保育カリキュラム

7月主題  照育(あおぎます) 

 光を受けている草木は、力強く伸びています。反対に日陰にあるものは、いかにも弱々しい感じがします。まさに直接太陽に当たるかどうかで、その生長する様にはかなりの違いが見られます。このことから、光は「生きとし生けるものを育てる力の源」であることが窺い知られます。

同じように、人が成長して行くためにも、光は必要です。それは、太陽の光だけではなく、眼に見えない光、心を育てる真実の光です。仏さまは、常に私たちを照らし、心の中にその尊い光を注ぎこんで、私たちの心を育て、導いていてくださいます。

私たちの眼は「借光眼」といわれます。日頃、私たちは周囲のことは何でも自分の力で見ているかのように思っていますが、実は光の力を借りないとものを見ることは出来ません。密室で電気が消えると何も見えなくなることからも、そのことは容易に知ることが出来ます。

ところが、いつもは太陽や電気の力を借りて周囲のものが見えているので、目に映る光景は、何でもその通りに見えていると思っています。けれども、それも所詮錯覚でしかなく、私達は自分中心の見方にとらわれてしまっているのです。そのために、子ども達を見る時も、無意識の内に自分が期待している標準よりも上か下かというような見方に陥ってしまいがちです。

しかしながら、子ども達の「持ち味(個性)」とは、他者と測ったり比べたりして評価するものではなく、その子のあるがままの姿を認めることが大切なのです。ところが、私達は気がつけば比較をしてしまいがちです。このように比較の中でしか子ども達を見ることが出来ないのであれば、他とのいわゆる横の比較ではなく、その子が半年前、一年前と比べてこれだけ成長したということを喜ぶようにしたいものです。子ども達は、自分という存在を認められることでやる気を出し、自らの力で生き生きと歩き始めるようになるものです。

超越の世界、すなわち仏さまの世界からの光は、すべての子どもを照らし、その子なりの輝きを与えていきます。そして、仏さま光のお育てによって、どの子もそれぞれの持ち味のままに、自分色の輝きを増して行くのです。そのためには周囲の大人が、子どもが伸び伸びと自分を表現できる場を与えて、何よりも辛抱強く待つことが大切だといえます。「早く」「早く」と焦ることは禁物です。

子ども達は、園で仏さまのお話を聞いたり、動植物を育てる体験などを通して、いのちの不思議さに目覚めたり、育てることを通して自らも育てられていることに気付いていくものです。

仏さまの光に照らされて、共に育ち合えるような保育を目指したいと思います。

年長組

〇仏さまやいろいろな人、物のおかげで育てられていることを知り命を大切にしようとする。
〇経験したことやしたいことのイメージを伸び伸びと表現する。
〇食材の命をいただくことに感謝の気持ちをもつ。

年中組

〇仏さまやいろいろな人、物のおかげにより様々な命が生かされていることに気づき、命の大切さを知る。
〇砂遊びや泥んこ遊び・水遊びなど、ダイナミックに楽しむことで、開放感を味わう。
〇身近な動植物の成長や梅雨・夏の自然に興味・関心をもち、遊びに取り入れて楽しむ。

年少組

〇仏さまに見守られていることのありがたさがわかる。
〇食べ物への興味を持つ。
〇保育者や友達と関わりを持ちながら、遊びを楽しむ。

満3歳児

〇全身を使った夏の遊びを保育者や友達と楽しみ、開放的な気持ちを味わう。