1月主題 報恩(よろこびます)
世の中の物事(結果)には、必ず原因があります。ただし、原因からすぐに結果が生じるのではなく、その原因にいろいろな条件が加わり、それらが相互に関係し合い、やがて結果が生じるのです。この条件を縁と言います。例えば、花という結果が導き出されるまでには、まず種という原因があり、土・水・光・養分といった様々な条件が整うことが、花という結果を生み出す必須の条件であることはよく知られています。このように、結果が生じるためには、必ず原因とその間の諸条件が関係し合うという真理を、仏教では「因果の道理」とか「縁起の法」といいます。
「報恩」という言葉は「知恩報徳」という言葉を簡略化したものです。「恩を知り、徳に報いる」ということですが、まず「恩」という文字は「因」と「心」という二つの文字から成り立っています。あるひとつの事柄を結果として見る場合、たとえそれを具体的に目にすることは出来なくても、それが成り立つまでの原因と結果に至る過程に心を寄せる感情を言い当てた言葉が「知恩」であり、さらにその徳に報いて行こうとするあり方が「報恩」だと言えます。
では、このように目には明らかに見えない「恩」という感覚を、子ども達にどのように教えればよいのでしょうか。具体的な形で、はっきりとは目に見えないものだけに、それを教えることはなかなか難しいことです。そこで、年間を通して行われる日常のお参りを始めとして、いろいろな仏教行事を催して行く中で、お釈迦さまや親鸞さまについての絵本や紙芝居を見せたり、お話を聞かせたり、讃歌を歌わせたりすることを通して、子ども達が「恩」という言葉の意味するところを自然と理解してくれることを願っています。
子どもですから、それをすぐに理解するということはなかなか難しいでしょうが、繰り返し仏さまのみ教えを聞くうちに、やがて多くのいのちによって「生かされている私」であることに目覚めると共に、ご恩を感じることの出来る心の豊かな人へと育って行くことを期待しています。
また、食事の前後には必ず感謝の心を述べる「いただきます」「ごちそうさま」という言葉を一緒に唱和するようにしていますが、その言葉が、今自分が頂いている「海の大地の無数の生きとし生けるいのち」に対する深い謝念の言葉であると実感することが出来た時、恩という感覚が心の奥深くに刻み込まれるのだと考えています。
お参りや毎日の様々な事柄をご縁として、ひとりでも多くの子どもが「ご恩」を知り、自らのいのちを喜べる子どもに育っていくことを願いつつ、日々の保育を進めて行きたいと思います。
年長組
〇親鸞さまの生涯について知り、感謝の気持ちを持つ。
〇伝承遊びなどを通して、数量や図形・文字に関心をもつ。
〇基本的習慣を見直し、見通しをもって生活する。
年中組
〇仏さまや親鸞さまに感謝し、進んでお参りをする。
〇身近なものを生かして自分なりに工夫して遊ぶ楽しさを味わう。
〇友達と遊びを楽しみながら、友達のよさや自分とは違うところがあることに気づく。
年少組
〇仏さまや親鸞さまに感謝の気持ちを持つ。
〇気の合う友達と好きな戸外遊びを楽しみ、伸び伸びと体を動かす。
〇自分から友達と関わり、イメージを共有しあいながら遊べる喜びを感じる。
満3歳児
〇ごっこ遊びや表現遊びを通して保育者や友達と関わって遊ぶ楽しさを味わう。