10月主題 報謝(はげみます)
仏さまのみ教えを聞くことを「聞法」といいます。仏さまのみ教えの特色は、どこかの誰かのことを問題にしておられるのではなく、常にこの私自身の生き方を明らかにしていかれる点にあると言えます。また「聞法は、生涯をかけて私が受けなければならない人間教育である」とも言われるのですが、人間としての礎が築かれる乳幼児期から既に、私たちが生涯受けなければならない人間教育であるとされる聞法の機会を持ち得るということは、その子が将来豊かな人間性を持つ人へと成長して行く過程において、何よりも貴重なご縁との出会いだと言えます。
一般に「聞く」ということは、「話す」ことよりも簡単なことであるかのように思われがちです。けれども、よく考えてみますと、実はこれがなかなか難しいのです。なぜなら、誰かの話を聞いた後に、そこで語られたことの内容を今度は自分の言葉で話すことが出来たり、あるいは他の人に的確に伝えることが出来なければ、それは「話を聞いた」とは言い得ないからです。
つまり「聞く」ということは、単に「誰かの話す言葉を耳にした」ということではなく、「聞いたことを正しく理解する」ということなのです。したがって、たとえ話を聞いたと言っても、その内容の真意を正しく理解して、自らの言葉で語ることが出来なければ、それは自分では聞いたつもりでいても、その時間眠っていたり、あるいは全く話を聞いていなかったのではないかといわれても仕方がありません。なぜなら、いくら「話を聞いた」と言っても、聞いたことの内容を「自分の言葉で語り得ない」という点では、その話を聞かなかった人と殆ど同じだからです。
「耳は二つ、口は一つ」という言葉があります。至極当然のことを言っているだけに過ぎないのですが、日頃私たちは二つの耳を持って生まれていながら、つい一つの方の口を先に立てて、聞くことよりも自分の主張を押し通そうとしてしまうことがあります。また、無意識の内に話の内容を自分の都合の良いように聞き変えをしてしまうこともしばしばあります。おそらく、この言葉は他人の話を聞く時には、自分が話すときの倍以上に注意を傾けて、話の真意をきちんと理解することの大切さを私たちに語りかけてくれているのだと思われます。
お話を聞かせる時には、子ども達によく理解出来る言葉で、そしてくつろいだ雰囲気の中で、興味と関心のある物語やお話をすることを通して、「聞く」ということの大切さが自然と身につくようにしたいものです。それと同時に、出来る限り子ども達の発する言葉に、そして出来ることなら声なき声にも耳を傾けることを心がけながら、日々の保育を進めていきたいと思います。
年長組
〇仏さまのみ教えや人の話を落ち着いて静かに聞く。
〇体を思いきり動かし運動する楽しさを味わう。 〇様々な人や物に感謝の気持ちをもって、食事をいただく。
年中組
〇仏様の話を喜んで聞き、ありがとうの気持ちを持つ。
〇身近な秋の自然に触れて楽しく遊び、自然に興味・関心を持つ。
〇全身での活動を喜び、進んで運動をする。
年少組
〇仏さまの話を喜んで聞く。 〇友達とふれあい、自分なりに思ったことや感じたことを表現する楽しさを味わう。
〇伸び伸びと体を動かし、戸外での活動を楽しむ。
満3歳児
〇いろいろな行事を通して、保育者や友達との関わりを楽しみ、行事に参加する楽しさを味わう。