お知らせ

流行発生警報の発令「手足口病」

鹿児島県より手足口病流行発生警報の発令がありましたので、お知らせします。なお参考までに資料を転載しました。

◆手足口病について
(国立感染症研究所資料から抜粋)
手足口病は,その名が示すとおり,口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹 を主症状とした急性ウイルス感染症で,幼児を中心に夏季に流行が見られる。1950年代 後半に認識されたウイルス性発疹症であり,我が国では1967年頃からその存在が明らか になった。基本的に予後は良好な疾患である。 しかし,急性髄膜炎の合併が時に見られ,稀であるが急性脳炎を生ずることもある。
【疫学】 本症は4歳位までの幼児を中心とした疾患であり,2歳以下が半数を占めるが,学童 でも流行的発生がみられることがある。また,学童以上の年齢層の大半は既にこれらの ウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いので,成人での発症はあ まり多くない。 感染症発生動向調査によると,国内における手足口病流行のピークは夏季であるが, 秋から冬にかけても多少の発生が見られる。
【感染経路】 主として咽頭から排泄されるウイルスによる飛沫感染でおこるが,便中に排泄された ウイルスによる経口感染,水疱内容物からの感染などがありうる。便中へのウイルスの 排泄は長期間にわたり,症状が消失した患者も2~4週間にわたり感染源になりうる。
【臨床症状】 3~5日の潜伏期をおいて,口腔粘膜,手掌,足底や足背などの四肢末端に2~3mm の水疱性発疹が出現する。時に肘,膝,臀部などにも出現することもある。 口腔粘膜では小潰瘍を形成することもある。発熱は約1/3に見られるが軽度であり, 38℃以下のことがほとんどである。通常は3~7日の経過で消退し,水疱が痂皮を形成 することはない。 稀には幼児を中心とした髄膜炎,小脳失調症,AFP,脳炎などの中枢神経系合併症を生 ずることもある。
【治療・予防】 特別な治療を要しないことがほとんどである。発疹にかゆみなどを伴うことは稀であ り,抗ヒスタミン剤の塗布を行うことはあるが,副腎皮質ステロイド剤などの必要はな い。口腔内病変に対しては,刺激にならないよう柔かめで薄味の食べ物を勧めるが,何 よりも水分不足にならないようにすることが最も重要である。薄いお茶類,スポーツ飲 料などで水分を少量頻回に与えるよう努める。ときには経静脈的補液も必要となる。 発熱に対しては通常解熱剤なしで経過観察が可能である。抗生剤の投与は意味がない。 しかし,元気がない,頭痛,嘔吐,高熱,2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎,脳 炎などへの進展を注意する。合併症を生じた場合の特異的な治療法は確立されていない。 予防としては,接触予防策および飛沫予防策が重要であり,特に手洗いの励行などは重 要である。患者あるいは回復者に対しても,特に排便後の手洗いを徹底させる。手足口 病の原因ウイルスに対するワクチンはない。